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第一番 大蔵山 杉本寺

枯れたたたずまいの鎌倉最古の寺 杉本寺(杉本観音)

第一番大蔵山杉本寺(杉本観音) 天台宗
〒248-0002神奈川県鎌倉市二階堂九〇三 ℡0467(22)3463
本尊●十-面観世音菩薩  開基●行基菩薩  創立●天平六年(七三四) 住職●静川慈昭
●詠歌●頼みある しるべなりけり 杉本の 誓ひは末の 世にもかはらじ

三尊同殿の霊場
 美しい自然の景観、それに奈良や京都では拝めぬひなびたみはとけを祀る鎌倉の魅力にひかれてこの地を訪ねる人はまことに多い。いまや、その古都としての静けさも破られてしまったかと嘆かれるはどである。しかし、閑寂な雰囲気を保ち続けている寺もあり、そのうちの一ヶ寺が杉本寺である。鎌倉に来て、この杉本寺へ参る人で、ここが坂東観音札所の第一番霊場であることを知る人は意外に少ない。
 鎌倉の鶴岡八幡宮から東へ金沢街道を約一・三キロはど進むと、左手に丘陵が追ってくるが、これが大蔵山、その中腹に杉本寺がある。享保十年(一七二五)建立の山門をくぐつて、多くの参詣者によって踏み減らされた急勾配の石段を登りつめると、茅葺きの五間四面の観音堂が杉木立ちを背に建っている。鎌倉最古の寺らしい枯れきったたたずまいが、まず拝者に心のやすらぎを与えてくれる。延宝六年(一六七八)の再建である。いたる所に千社札が貼られ、また明和・安永・天明など江戸期の「巡礼奉納額」などが長押を埋め、本尊に寄せられたあつい信仰の歴史が知られる。入山料を納めて新しく設けられた脇の表参道から詣でることになる。
 永禄三年(一五六〇)書写の『杉本寺縁起』に、天平六年(七三四)僧行基が自刻の十一面観音を安置して開創したとある。のちに慈寛大師が同じく十一面観音を内陣の中尊として納め、天台の法流に属せしめた。さらに寛和二年(九八六)恵心僧都が花山法皇の命をうけて十一面観音を奉安したと伝える。これが三尊同殿の由来である。明和八年(一七七一)沙門亮盛師によつて著わされた『坂東三十三所観音霊場記』は、このことについて「坂東第一番と成る事、其の故あらんか。・・・行基・慈覚・恵心の三師、各々十一面の尊像を作り三体同殿を算れば、三十三の悲願分身にあたる。是れ其の第一番に在て四八の霊場を発く由乎」とみえているのが面白い。
   藤原の世の二躯鎌倉の世の一躯
         相伴れおはす南無観世音
と歌人吉野秀雄氏が歌っている。
 せっかくの参拝なのだから入堂して、ご三尊を拝していただきたい。


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by nrk14949 | 2007-09-12 20:29 | 古寺巡礼 坂東三十三ヶ所を歩く
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